生粋ホラー!『恐怖劇場アンバランスVol.6』

「誰?誰かそこにいるの?」                  第11話『吸血鬼の絶叫』

「手! 手が!」                       第12話『墓場から呪いの手』

「僕を飼うつもりだね。僕を、蜘蛛みたいに…。」         第13話『蜘蛛の女』

 

DVD恐怖劇場アンバランスVol.6

DVD恐怖劇場アンバランスVol.6

内容紹介
心臓の弱い方、お一人でご覧になる方は、この「恐怖劇場アンバランス」はご遠慮下さい…。
円谷英二、監修―。昭和ホラーが蠢く。


―“恐怖劇場アンバランス”とは?!―
怪奇大作戦』後、円谷プロが大人に向けて“真の恐怖”を描いた『恐怖劇場アンバランス('69年制作)』。一度はお蔵入りとなり、制作完了から放映まで実に3年もの年月を要した伝説の作品である(放送は'73年)。不条理、怨念、転生、呪い…男と女。人間が持つリアルな恐怖の数々を西村京太郎、松本清張鈴木清順藤田敏八ら一流作家競作、渡辺美佐子蜷川幸雄花柳幻舟ら異色キャストで贈るオムニバスホラーの金字塔。音楽:冨田勲

第11話「吸血鬼の絶叫」 脚本:若槻文三/監督:鈴木英夫/出演:勝呂誉、弓恵子、富田浩太郎、谷口香ほか


第12話「墓場から呪いの手」 脚本:若槻文三/監督:満田かずほ/出演:山本耕一、松本留美入川保則牧紀子ほか


第13話「蜘蛛の女」 脚本:滝沢真里/監督:井田探/出演:八代万智子、佐々木功、真理アンヌ、今井健二ほか

 

Vol.6は3作品構成。


『吸血鬼の絶叫』

トランシルヴァニアから来た吸血鬼が地下室に眠る男の胸にささる杭を抜いて蘇らせた。男は夜な夜な街を徘徊し、女を襲い、生き血を吸う。犠牲者の一人の兄が、犯人は吸血鬼だと断定したが、行きつけのバーの主人の父が、吸血鬼の捜査をしていたことを知り話を聞く。吸血鬼はそのバーの女主人に目をつけた。

ずばりモンスターホラーの代表と言ってもいい「吸血鬼」をテーマにした作品。あんまりにもオーソドックスな吸血鬼の生態と物語の流れがなんだか、「吸血鬼もの」まんまといった感じ。これは面白くない。ラストは吸血鬼と対決か?と思ったがあまりにもあっけない。ああ、終わってしまった。吸血鬼が怖いのって「銅」なの?「銀」じゃなくて?

『墓場から呪いの手』

 別れ話のもつれから女を殺害、その遺体をバラバラにし、それぞれ別の場所に遺棄した男。次の日から男のマンション部屋のインターホンが鳴り、勝手に警察に電話が掛けられる奇妙な事が起こる。バラバラに捨てた体の一部までもが部屋に置かれ、「誰かが自分を落とし入れようとしている…。」と感じた男は、殺した女に妹がいることを思い出し、会いに行くが彼女ではない。そんな中、手が人を襲う事件が起こるのだが…。

怖い。体の一部(手)が動き出し、人を襲う。あのマニキュアと指輪をした手がキリキリと引っかく音をたてて迫る恐怖といったら…、コソコソっと早く移動しているのが怖い。

『蜘蛛の女』

金持ちで蜘蛛好きの女の愛人として、ヒモのような生活をする写真家の男。彼は個展を開きたいがためにそういった生活をしていた。だが、女は男を独占するために彼の夢である個展の資金を譲らない。怒った男は女を殺害、その死体を焼いて、地中に埋める。帰った男は、女の金を使って念願の個展を開くのだが、女のいた部屋には飼い慣らされた蜘蛛がいた。女の金をめぐり、元雇われ高利貸しの男や謎の蜘蛛好きの女の妹が男の前に現れる。

これは蜘蛛が怖い人には見せられない。身の毛もよだつ、蜘蛛が人を襲うシーンはかなりショッキングだけど、そこらのハリウッド映画なんかよりはマシというべきだろう。それよりも死体を遺棄するのに木にくくりつけて油で焼くシーンや、夜に車のライトに照らされる女の姿などの方がメチャメチャ怖い。

 

これだけ連チャンでホラーを見るとだんだん怖くなくなってきている自分がいるような気がする。少し時間を置いて、もう一回観たら怖いのもあるだろうな。とりあえず、『恐怖劇場アンバランス』を全巻揃えてみて、僕は大変満足。ホラーと言ってもサスペンス、人間ドラマなどの要素が混在し、それぞれの作品は違った風合いを感じる。テレビドラマ用に約45分程度の尺から話のまとめ方、演出方法など工夫が感じ取れる。また制作された69年の時代というのも感じ取れた。一話だけでこれだけ面白いのはなかなかないだろうな。なんといっても全話とも粒子の荒いフィルム映像なのでそこが怖いんだ。どこかにオバケでも潜んでいるんじゃないかと画面のあちこちを見てしまう。