『冒険者たち』(67年・フランス)

「海は私の初恋の相手なの。」
パリ郊外の廃車置き場に若い女がクズ鉄をくれないかと尋ねてくる。そこに住むのは破天荒な2人の男。マヌーは曲芸飛行や小型飛行機のインストラクターも勤めるスポンサー付きの賞金稼ぎ、ローランは個人で新型エンジンの開発を進め特許を取得したい技術者、そこにやってきたのは全財産を投げ打って芸術作品を作り個展を開こうとするレティシア、夢を追いかける3人の奇妙な共同生活が始まる。それぞれ挫折を覚える3人に舞い込んできたのはコンゴ内乱に行方知らずになった財宝の在り処。3人は財宝目当ての旅に出ることになる。 夏の終わりに青春レクイエムの大傑作をDVDで観ようと思った。おもわず買ってしまった40周年アニヴァーサリー版。BS2で一度観たことがあるけど、鮮やかな色彩とロケーション、口笛で奏でる哀愁ある音楽に強い印象を得た。フランス映画ってなんでこんなにカッコいいの! パイロットのアラン・ドロンもバイクやオープンカーに乗った姿とかメチャメチャカッコいいし、機械道具に囲まれた部屋でエンジンの開発に余念がないリノ・ヴァンチュラも男臭いかっこよさがある。3人の夢に追いかける姿勢というのが若いと言うのか、夢に執着する大人たちのかっこよさというのか。フランス映画でお気に入りの一つ。 とにかく撮影がいい。トラックに並走する複葉機とか、コンゴの日差しの強い海、曇りがちなレティシアの故郷など、ロケーションが抜群にいいんだよね。この夢を楽しんで過ごしている3人を快く観てしまう。夢を追いかけているって揺ぎ無い信念とか、我慢だとかそういったイメージが付くけど、この映画だと3人はそれぞれ挑戦して、思い思いに過ごしている。辛いこともあるけど3人が助け合ってたまには距離を置いてみたり、思いやりあるいい関係だ。 ラストのアラン・ドロンのセリフを真似てみたい。かっこよすぎるよ。海が綺麗だなと思える映画。 DVDにはロベール・アンリコ監督とレティシア役のジョアンナ・シムカス(夫はシドニー・ポワチェ)のインタビュー、音楽家のフランスソワ・ド・ルーべにスポットを当てた短編作品が収録されてある。オリジナル予告編はもちろん、HDリマスターされた予告編も観られる。 個人的な話になるけど、去年GWのバイク旅で大久野島の旧日本軍の秘密工場に行ったけど、この映画に出てくる要塞島をイメージして行ったんだよ。