『乱暴者(あばれもの)』(53年・米)

「ジョニー!待ってたぜ!」
物語:アメリカで実際に起こった事件をベースに映画化。集団で暴走行為を繰り返すバイクチーム「BRMC」(Black Rebel Motorcycle Club暗黒の反逆者)が寂れた地方の街へやって来た。チームのリーダー格のジョニーはバーのホステス、キャシーに恋心を抱くがうまく相手にできない。やりたい放題の集団に住民の一部が怒りをあらわにするが、そんな中、別の暴走チームがやってきてBRMCと喧嘩になる。より一層敵愾心を抱く地元住人。そして夜にキャシーがジョニーに襲われていると勘違いした住民の通報により、市民の怒りが爆発。ジョニーへの集団リンチが開始されるのだが…。 言わずと知れたアウトローの代名詞(?)ジョニーことマーロン・ブランドの個性が強調されたアンチヒーローの金字塔。有名作なのにようやく見れました。暴力的で不器用でナイーブな一面を見せる若い頃のマーロン・ブランド、当時の若者の社会に対する不満を代弁したという。今も高い支持を得ている。 実際の事件を元にした映画ということから、当時のバイカーに対する社会的偏見が色々出された映画じゃないでしょうか。英題は『THE WILD ONE』(こっちの方が有名かも)。1920年代からモータリゼーションが発展していったアメリカは自動車の天国で、それまで使われていた馬車が車へと変化していきました。そんな中、快適性とは程遠いバイクの存在が一部の反社会的集団の足に使われていたことから当時のバイカーに対する偏見といえば「酒に酔っ払って暴走してはいつも喧嘩ばかりするアウトロー」というような目で見られていました。さらにこの映画の登場で俗世間からはバイカーがいたらこんな目で見られていたのです。で、1959年になって日本のHONDAが北米でCUBを販売開始、どんどん売上をのばしてそのイメージを払拭していったわけです。 バイク乗りならうれしい所満載です。登場するバイクはジョニーがトライアンフサンダーバード6Tでイギリス製。他ハーレー、BSA、ノートンなど当時の現行機種。今ならビンテージ物、マニアなら垂涎ものです。疾走シーンでは観ていてヒヤヒヤする所が多いです。コースから外れそうだったりこけそうな所が多い。 ジョニーのスタイルは当時の労働者が被っていたようなキャスケット。走行シーンではティアドロップのサングラス。ダブルのレザージャケットは首元まできっちりジッパーを上げ、後には海賊旗をもじったドクロ、骨の代わりにピストンのシルエットをクロスさせてその上にはBRMCのステッチ。黒のレザーグローブ、ジーンズのロールアップ、エンジニアブーツ。チームの全員も黒のレザージャケットという共通点以外は個性的なジャケットを着てます。 で敵対関係のチノ扮するリー・マービンがレザーのベストにボーダーのロングT-シャツ、ジーパンというスタイル。チームの他のメンバーはフライトジャケットや軍物をジャケットに着こなしていました。 ファッションに関することならこのページが詳しいかも。 http://www.hakuraido.com/hakuraido_01/rockers/newpage1.html ジョニーのしぐさも注目。バーに入ってからのキャシーとのちょっかいのやりとりはいかにもという感じだ。