原節子さ~ん!『晩春』(49年・松竹)

「お父さん、今までありがとう。」

晩春

晩春

  • 出版社/メーカー: Cosmo Contents
  • 発売日: 2007/08/20
  • メディア: DVD

内容紹介
東京物語」と並ぶ小津安二郎監督の代表作で、結婚をめぐる父親と娘を題材にした感動作である。笠智衆原節子の共演第一作で、鎌倉を舞台に、妻を早くして亡くした大学教授の父と、27歳になってもそんな父親を一人残して嫁に行く気にはなれない娘。そして二人のことが気が気でなく何かと世話を焼く叔母(杉村春子)。父と娘の親子愛を中心に、二人を取り巻く人々の人間模様を、小津監督独特の手法で、淡々と描きます。杉村春子のコミカルな演戯、月岡夢路のはつらつとした演戯、そして何といっても、原節子の表情の変化と笠智衆の渋さ、ラストシーンの父親の背中に全ての思いがこめられています。

観ましたよ。小津安二郎作品を。ドラマチックではない。ただ静かに感じる親子愛、別れ、哀愁、心境。ごく平凡な言葉の中にひしひしと感じる感情表現など、素晴らしい。原節子さんが美人過ぎて、できた娘過ぎるのでなんにも言えないよ。

あんな人が自分の娘で「結婚したくありません。お父さんと一緒に暮らしたいの。」なんて言われたら親として何と言おうか。笠智衆さんは「お前はまだ若い。今が幸せでも新しい幸せが待っている。」なんて渋過ぎるよ笠智衆さん。当時45歳にして渋い。

京都の旅の晩に、親子水入らずで枕を並べるシーンでは、有名な「壷のインサートシーン」が有名らしいが、確かに柱の向こうにある障子に月の光で照らされる植物の影と、壷が陰影を出している。印象的。