『マレーナ ディレクターズ・エディション』(00年/伊・米)

あの頃、あなたが世界のすべてだった。

マレーナ ― ディレクターズ・エディション

マレーナ ― ディレクターズ・エディション

  • 出版社/メーカー: 日活
  • 発売日: 2002/08/23
  • メディア: DVD

 

内容(「DVD NAVIGATOR」データベースより)
G・トルナトーレ監督が、思春期の少年が抱く大人の女性に対する焦げるような想いを描く。第二次世界大戦下のシチリア島、夫を戦地に送り出している美しい人妻・マレーナは町中の男から視線を集め、女からは嫉妬されていた。30以上の新たなシーンが追加。

イタリアが生んだジュゼッペ・トルナトーレと言えば、いわずと知れた『ニュー・シネマ・パラダイス』(89年)が有名。最新作に『名前のない子守唄』が公開され(もう終わった?)世界が注目する人気監督の一人だ。2000年に世界配給版として92分の総尺で公開されのに対し、イタリア本国だけ公開された本作は、103分のディレクターズ・カット版で、世界配給版に30以上のシーンを追加してDVDで世に出る形となった。

僕はこういう「完全版」とか「ディレクターズ・カット版」とか、ひとつの作品を二つに分けるのって嫌いだ。だって二つは長い短いの、それぞれ初めて観るのとでは印象が違うし、覚えてる場面を二回見るという「先の話が見えている」というのがいやだ。『ニュー・シネマ・パラダイス』も『ラスト・エンペラー』も『地獄の黙示録』も全長版が好きだし、監督の意向やメッセージ性をワザと切るという不本意な作品はだめだと思う。また興行収入目的みたいな考えも嫌いだし。でも配給側で、簡略化をしなけらばならなかったっていうなら話は別だけど。

では内容。主に未公開シーンは主人公、レナード少年の妄想シーンが多いような印象。でも省略されたカットが表現のディテールを深くしていることに注目。また肌の露出シーンが増えたような印象だが、初めて観たときのエロチックな感情は、成長した僕にとってそうエロに感じるところがなく、これはカットしたほうがよかったなんてそう感じるものはなかった。過激なところもあるにはあるけど、自然と見れる自分が「ああ、裸体に慣れてしまっている。」という、視点が成長した証拠だなと自覚してしまった。最初見たときは、この妄想エロ少年に「男ってこうだよな。」と共感を感じていた。

通常版のシーンをよく覚えていないけど、エンニオ・モリコーネのずばり効果的音楽の使い方が少し変えて編集されてあったような気がする。大体通常版を観たとき、これだけあるストーリーがたった90分少々で描いてあるのに驚いたもんだ。だって2時間あっても十分な気がしたもの。テンポがいいのでそう長く感じなかったのも事実。

マレーナ役のモニカ・ベルッチも、レナード役のジョゼッペ・スルフォードもいい演技。エンニオ・モリコーネの音楽も、撮影も素晴らしいの一言。ストーリーがどうこうという前に映画のできとしては良作だと思う。ディレクターズ・エディションを買った僕ですが、う~ん。DVDを買うほどでもなかったかな~と少し後悔。通常版は何回か観てる身の上だしな~。気になるのがDVDの画質なんだけど、少々走査線が見える。これってうちの再生が悪いんじゃないよな。