『牡牛座 レーニンの肖像』(01年・露=日)

1922年、モスクワ郊外ゴールキー村、病床で静かに最期の時を待つ男がいた。

ウラジミール・レーニン

発作の後遺症で右半身は麻痺し、言葉もおぼつかない。

見守るのは妻と妹ただ二人。

この孤独な頼りなさげな男が、

本当に史上初の社会主義政権を樹立させた権力者だったのか…。

 

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そもそもこのソクーロフの映画を観ようと言い出したのは母親の方で、 わざわざ香川から来て、映画の日だということもあって、観にいったんだよ。結果的に三本とも集中力が足りずに、どこかしら居眠りしてしまったんだけど、三本とも佳作だと思う。テーマが20世紀の権力者ばかりだもの。

ソクーロフの曇ったような映像で、青々とした森の中にある療養所を舞台に、妻と妹に付き添われた晩年のレーニンを描く。病床の身で実権もスターリンに奪われた一人の男は、医者と看護婦数人に世話役を兼ねたガードマン(スターリンの手先)に監視されながら暮らしていた。唯一心を許すのは妹と妻。その妻も妹も気に入らないと彼はヒステリックに言い散らすだけなのだ。

実権を失った権力者がこんな毎日を過ごしていたのかと思うとそれはもの悲しい。でもこのレーニンという男がこうも我がままで痴呆老人のような男だったのかと思うと疑問だ。こんな男にカリスマ性なんかあったのだろうか。周りが彼を引き立てていたのだろうか。