『殺しの烙印』(67年・日活)

「女を抱いてきたのか?」      「あたりきよ。」       「湯たんぽを抱きな。」        ドキューン        
殺しの烙印 [DVD]

殺しの烙印 [DVD]

  • 出版社/メーカー: 日活
  • メディア: DVD
監督: 鈴木清順 出演: 宍戸錠, 真理アンヌ, 南原宏治, 小川万里子 公開当時、その特異なる演出スタイルで観客からは理解されずに興行的に失敗し、日活の社長を怒らせ、クビにまで追い込まれた鬼才、鈴木清順の代表作。NO.3と呼ばれる男は組織の命令で動く殺し屋。謎の女に頼まれた仕事で失敗し、逆に組織から命を狙われる破目に。正体不明の殺し屋NO.1に単身戦いを挑む。 この洗礼されたカットは一体なんだろう。フランス映画のようにカッコいい。人物が画面の端っこにいて、対照的に光と影もまた印象的。中にちりばめられたヘンテコな設定のユーモアも「なんだこの映画は?」と思わずにはいられない。コメを炊くときの臭いが好きな殺し屋なんて誰が考えるんだ。分からないでもないが、バーでコメを炊けとは面白い。女を抱くシーンが多いけど、その中で炊飯器を抱いてうっとりしながら臭いをかいでいる男が挿入される。 たった1カットで話がメチャメチャ飛ぶんだよね。その飛びっぷりが説明なんか不要で観ている方が注意しないと置いてかれるんじゃないかと思う。 映画の中で印象的なのが真理アンヌさん。氷のような冷たい表情のミステリアスな女のイメージそのもので白黒映像と相まってスタイリッシュに決まる。雨の中のシーンがまたカッコいい。