『レバノン』(09年・イスラエル、独、仏)
人間は鋼であり、戦車は鉄にすぎない。
ヴェネチア映画祭2009年金獅子賞受賞作
http://www.youtube.com/watch?v=TfM5NDhV6hk
内容
1982年6月6日深夜、イスラエル軍戦車に搭乗した4人は作戦を聞かされた後、歩兵部隊と一緒にレバノンの侵攻作戦に参加。戦車の外では一般市民を巻き込む市街戦が繰り広げられる。
戦争映画の中で潜水艦ドラマという乗組員たちの葛藤や音を利用した感覚的なアクションが一つのジャンルとして定着しているが、本作は戦車の中を舞台にしたある意味新しい戦争映画。戦車部隊を描いた作品は他にもあるだろうが、戦車の中からは一歩も外に出ないというスタンスは崩さない。戦車のスコープから外の戦闘を見るという緊張感から搭乗員の心理的ストレスをより実感する。戦争映画としてはものすごく地味。
搭乗員たちの戦闘に対する躊躇が見え隠れするシーンが多い。要領悪く撃っていいかで迷い、戦闘に巻き込まれた民間人の戦車に対する険悪な目を見る。レバノン戦争の概要をよく理解してから観ないといけなかったのか映画の中でも戦争の原因さえ搭乗員は知らない者もいる。ファランヘ党員(レバノンのキリスト教極右派)の誘導に懐疑的な歩兵部隊の隊長と乗組員は司令部からの信用しろの命令さえ疑問に思う。
カメラの手ブレによる戦場をリアルに描いた作品も多いと思うが、色々疑問に思った所をまとめてみた。
歩兵部隊の隊長が戦車の中にまでやってきて説教する
そもそも戦車一台に歩兵という部隊構成は現実的なのか?
戦車の指揮官の言うことを聞かない装填員、
手ブレに見えなくもない照準の挙動、
友軍の戦死者や捕虜を戦車内に入れたり、
搭乗員はハッチから顔を出すことも戦車の外に全く出ない。
戦車砲の弾の装てんシーンがない。など
これはリアルなのか?と疑いたくなるシーンも多いが、監督は実際の戦争に参加しているという、まあそこは映画だ。ラストでようやくセンチュリオン戦車だとわかった。
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