『狼』(55年・近代映画協会)

「どうです。みんなで強盗でもしてみませんか?」

狼

内容(「DVD NAVIGATOR」データベースより)終戦後、生命保険の外務員から郵便自動車強盗に転落する五人組と、冷徹に追う人々の姿を軸に、人間性の弱さと彼らを追いやった社会悪をリアルに描いたハードボイルド。『泥だらけの青春』同様、乙羽信子高杉早苗が共演している。

 

これもやっぱり乙羽信子さんが出ている。どこかで見たことあるなと思う俳優さんばかりで、貧困にあえぐ社会性あふれる映画だ。真夏のギラギラした道路での襲撃シーンが印象的で、当時の道路事情も分かる。犯罪者は一般市民で小市民であるが、犯罪者にならざるをえなかったという救われない話になっている。5人それぞれの家族生活が当時の生活者を表しているんだろう。障害のある子供を使うのも、最近ではできなくなってきている。『どぶ』とは打って変わって、静かで冷ややかだ。

これを見た後、映画館を後にした。K先生はこの後もまだ見るという。入れ替えで挨拶もできなかったけど、すごいなあと思う。映画も三本続けて観ると、僕は首が痛く、お尻が痛くなったのでこれが限界だと思う。首は頭を見上げるほどでもなく、シートに委ねた状態でも、同じ姿勢がいけないのか、動かない頭を支えるのはかなりしんどい。

誕生日祝いが映画館で映画を観るというのは、なかなか粋でいいなと思った。僕も久しぶりの映画館だし、いい作品にも出会えた。その後、うなぎを御馳走になった。