小津さ~ん!『長屋紳士録』(47年・松竹)

「今度寝小便したら承知しないからね!」

長屋紳士録

長屋紳士録

  • 出版社/メーカー: Cosmo Contents
  • 発売日: 2007/08/20
  • メディア: DVD
内容紹介
小津安二郎の戦後第一作監督作品である。戦後間もない東京には、戦争で親を亡くした戦災孤児がたくさん居たが、その中の一人を拾ってきた男(笠智衆)は、その子を女(飯田蝶子)に預けてしまう。女はその子が疎ましくて仕方がないので、どこかに置き去りにしようとするが、なかなかうまくいかない。そのうち、その子供に情が湧いてきて、二人の間に、実の親子のような絆が生まれてくる。しかし…。段々と子供に対する気持ちが変化する経緯を小津の演出で、そして飯田蝶子の演技力で、魅せる作品。懐かしい昔の東京の風景と共に、心に残る作品である。
 
戦後東京の廃墟の残る風景、長屋を舞台にした温かみのある人情劇。唐突にも「勝手について来てしまったんだ。」と言ういい加減な笠智衆さんが向かいのおばさん(飯田蝶子)に一晩だけ子供を預けてもらうように頼んだことから物語は始まる。笠智衆さんはヒゲが多い顔だったので少し若々しい印象。
 
家に上がりこんだ見知らぬ子供の相手をすることになる飯田蝶子さん。嫌そうな顔に愚痴をこぼす。無口な子供に不思議と親子の関係を思わせる情が入るのも、とても自然だ。
 
小津映画特集、3本立てでした。