『トラック野郎・爆走一番星』(75年・東映)

「流れ星になっても知らないぜ。」

トラック野郎 爆走一番星

トラック野郎 爆走一番星

  • 出版社/メーカー: 東映ビデオ
  • 発売日: 2002/09/21
  • メディア: DVD

監督: 鈴木則文 出演: 菅原文太, 愛川欽也, あべ静江

内容(「DVD NAVIGATOR」データベースより)
酒・喧嘩・博打に強くなんでも1番でなければ気のすまない星桃次郎と、彼に親愛と友情を抱き、お人好しだが小心なのが玉に傷な松下金造。彼らが絶妙なコンビネーションを見せながら、トラックに男の夢を乗せ突っ走る、痛快な人生を描いたシリーズ第2弾。

前作は東北が舞台だったが、今回は西日本が中心。それも姫路→下関→博多→長崎→天草に掛けて、恋に喧嘩に人情と、旅から旅へ。恋に一途なトラック運転手、一番星こと桃次郎は姫路のドライブ・インでまたもウェートレスの大学生に恋をする。相棒のジョナサンこと金造は恋の相手をバキュームカーの女運転手だと思い込んで、お見合いの手はずをしてしまう。恋する相手が太宰治ファンであることから猛勉強して文学青年を気取る桃次郎。そんな中、謎のトラック野郎、ボルサリーノ2が現れ、金造と対決を挑んでくる。

一連して単純明快な男たち、下品でもダンディズムはプンプンする、キザでかっこ悪いけど、どこか人間味があって、そこがかっこいい。格好そのものが生き様を語る個性的な服装、そんなもんトラック運転手ぐらいしか着ないだろうっていうのがあって、憧れはしないけど、楽しそうなんだ。そういう人種を観るようで、この人はこういう人なんだな~というのが一目でわかる。

映画も観てて照れくさくなるようなお決まりのパターンが出来上がっている。もうそれがおかしくておかしくて、特に振られた女運転手が失望のうちにどこかへ駆け出すシーンとか、見るからに不幸な姉弟に涙する金造一家とか。

ライバル運転手にギャング映画に出てくるようなダンディな服装で登場するのが田中邦衛さん。その名も「ボルサリーノ2」。もちろんアラン・ドロン出演の『ボルサリーノ』(66年)からだろうけど、時代を映したネーミング、しかも『ボルサリーノ 2』が公開されたのは映画と同じ74年なんだ。元警官だった金造に因縁をもち、レースで決着をつけようとする。その対決前に言うセリフが記事先頭にあるのがそう。あ、でも対決は桃次郎さんがするんだけどね。

冒頭ちょい役で、女学生の乗ったバスに教師?バスガイド?の役で研ナオコさんが特別出演。バキュームカーの女運転手の弟役に、若かりし頃の関根勤さん、若い!好青年!タイトルにはラビット関根とある。

トラック運転手に罰則の厳しい警官だった金造にボルサリーノが言う「市民なんてどこにもいねえじゃねえか!世の中、金持ちと貧乏人だけだ。」と敵意に持つ。だが、警官にさえ、失職したら暖かく迎える心の豊かさが、トラック運転手の世界のなんともいえないよさがある。

なんだか定食屋のとんかつ定食みたいで、安くておいしい、中身は決まってるけど腹持ちがいい、そんな感じだな。