蜂の巣

春の風が吹くある晴れた休日の朝。ベランダにカサカサに乾いた桜の花弁と落ち葉が散らばって汚かったのでここは何年も掃除してないのでいい天気なんだし、せっかくなんで掃除しようと思い立った。

とりあえず落ち葉は小さなホウキと塵取りで取って、洗濯機の下のゴミは取りにくいので洗濯機をずらすだけ動かして、バケツで水を捲いて排水溝にゴミを集めてしまおうと考えた。ベランダの幅が洗濯機とほぼ一緒なのでこうするしかない。いざ洗濯機を動かそうとしていると一匹の蜂が近づいてきた。ミツバチよりは大きいがスズメバチ程大きくはない。すらっとした後ろ足が長いアシナガバチだ。

変に当たりをウロウロ飛んでいるので変だなと思いながらも掃除を続ける。洗濯機の下は長年のチリと落ち葉が溜まって汚かった。バケツに水を汲んできて、洗濯機の下のゴミを後ろの排水溝まで水で押し流す。排水口に溜まった落ち葉を取ろうとしたときにハッとした。洗濯機の裏に蜂の巣があるではないか。

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蜂の気まぐれによる巣の場所の選択には驚く。なんにせよ、ここは洗濯機の裏。日常で使おうものなら巣は大きく揺れるだろうし、それに怒った蜂の攻撃にあったらこちらにも被害が及ぶ。こういう場合、市役所に連絡した方がいいのか、大家さんに言った方がいいのか悩むが、巣の大きさこそ親指大くらいしかないし、こんな小さな蜂の巣、自分の手で駆除してしまおうかと考えが交錯する。とりあえず情報収集をと掃除を中断してネットで調べてみることに。

まずは個人で蜂の巣を駆除する方法を検索したが、業者に頼んだ方が無難と大体書かれてあった。まあ危険だしそんなものだろうと考えたが、中にはアシナガバチはそれ程攻撃的な種類の蜂ではなく、ミツバチと同じように巣を襲う者にだけ攻撃をするので共存するというのも道という記事をみた。

蜂は人を刺すから危険だとか、駆除しなけらばならないとか、それは危険分子を排除する人のエゴというもので勝手なのも事実。この蜂は巣の危険を察知して攻撃しようか企んでいたのかもしれないが一匹だけだったし、巣に止まってせっせと巣作りをしている姿を見ると愛着さえ湧いてきた。

掃除をしていた時に近くを飛んでいただけで大群が襲ってくるわけでもない。女王蜂なのだろう。

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巣を垂直な所に横向きに巣を作ることからフタモンアシナガバチと素人目に断定。もっとも危険な時期は8月頃ということだが巣を刺激しない限りは安全と判断し、駆除しないで共存共生をと決めた。

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よく観察してみると巣は以前からあったようで古い巣に新しい蜂が引っ越してきたようだった。巣にはもう卵が産んであって蜂は片時も巣に止まって何かしている。洗濯機の上から身を出して撮影した。

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蜂も実は害虫を駆除する益虫なんだと再認識しないといけない。虫にも道理があると春の日。