『ペネロペ・クルスの抱きしめたい!』(96年・スペイン)

1965年、ビートルズの大ファンであるナディアはスペインコンサートの機会にジョンをモノにしようと企む。ビートルズが滞在するホテル部屋に忍び込んで彼の私物を物色中、ホテルマンのサンティに見つかる。そうこうしているうちにジョンが帰ってくるも、何とかその場を抜けだしたナディアとサンティは3年後運命的な再会をする。 日本未公開作品でペネロペ・クルスが若い。ビートルズの追っかけから無茶な行動をとる彼女は可愛い。しかし、題名から騙されてはいけない。映画の出演シーンは全体の半分もない。ビートルズの要素も少ないし、ラブコメ要素が多い。面食いで金持ちが好きなナディアと貧乏で間抜けなサンティはどこかで引かれ合うもそれぞれ別な人と結婚し、再会しては不倫の恋を繰り返していく。ナディアの女性の幸せとは愛だけではないという主張とサンティの愛されあればいいという主張は食い違ったまま、二人の愛の形は完成することなく、時が流れる。再会するごとに二人の関係は繰り返していく。 国王ネタや時事ニュースをふんだんに取り入れては時代の流れを感じさせる。年をとっても変わらないナディアとそれを止めようとするサンティの関係、堂々巡りで若い頃を思い出したりしては安心させるラスト。彼女はあのころから変わりなかった。